story.5_私の父に離婚すると言ったら、

私の父は離婚すると言ったら「よし、やった!ついに離婚か!一緒に暮らすか?!」と声を弾ませた。母は「あら?じゃあうちで働かない?」と全く反対するどころかアッサリとウェルカムな両親。
いつもそう、口も手も出さないけど、私の考えに反対したことがない。
そして、どんなこともケロッと平気な顔で、まるでそんな大したことないよと言わんばかりの態度をとってくれる。そのお陰で不安も後ろ向きな気持ちにもならず、前へ進んで来れたんだろうな。
結局母に雇ってもらい母子家庭生活が始まった。
娘2人との3人暮らしは、開放感全開で、料理を作りながら酒を飲んだり、3人で歌ったり、踊ったり、モノマネしたり劇したり、たわいもないことを楽しんだ。
もちろんいいことばかりじゃない、あまり悪かったことは思いつかないが、不眠症になった時期もあったな(私なりに気が張っていたんでしょうね)
娘達に、親に、兄弟に、友達に支えられてきたなーとつくづく思う。
あ、今更だけど私は6人兄弟!
母は同じだけど、父は3人違う。
辻褄が合わない話が出てきそうなので簡単に説明。
母は3番目のパートナーと埼玉でパン屋を経営。そこで働かせてもらった。ちなみに実の父親は絵描き、作家、運動家、ヒッピー(笑)
母子家庭とか、親が違うとか、そう言う話をすると大抵「まー、大変ね」とか「可哀想に」とか言われるけど、勝手な思い込みで、実は可哀想でもない。きっと離婚は悪いこと、恥ずかしいこと、人生の失敗とでも思うのだろう。世間がそういう目で見るだけのことであって、実際本人は全くそんなことなかったりする。もちろん私みたいな人ばかりではないけど、可哀想と見る、そのことこそが偏見であり、その人を傷つけていたりする。
子どももそう、離婚はいけないと思い込ませているから親の離婚を許さない子どもも多いし、子どもも傷つく。子どものことを本当に考えているならそんなことをするなという人もいるけど、本当にそうか?夫婦のことは子どもに背負わせることではないし、親もまた1人の人間、それぞれが自立した考えを持つべきだと思う。それが、どんな小さな子どもでも、理解できないことではない。むしろ理解するしないという問題でもない。
世間の目はともかく目の前のことを精一杯やることで忙しいやら楽しいやらの日々。
決して離婚前の生活が嫌だったわけではない、楽しいことも沢山あったし、知らない世界を知ることができた、感謝することもいっぱいある。
でも一度母子家庭を経験すると、新たに再婚するなんて考えられない。
と思いながら数年が過ぎ・・・